
ワインとつまみとトルシエ
2026-07-11 18:45:00
夏のボーナスが入り、一瞬だけ「わーい!」となりましたが明細を見た瞬間に怒りの炎がメラメラと燃えさかりました。身を粉にして働いて働いて働いて、4割も税金で持っていかれるって!これは私が女優業と作家業とオフィス伊集院の仕事をしているために、会社員としての給与から多めに引かれるということなのですが、そうなると会社での週4×8時間の勤務が自分のためではなく、お国のためのような気がしてきます。それが素敵な国であれば、大目に見ようというものですが、今の日本には本当に不満ばかり。国民から搾り取る法案に関しては脱兎のごとく行動するくせに、消費税引き下げになると突然亀の歩みになったり、出国税が3倍になったり。「その代わりパスポートの申請代下げましたー!」などと言っていますけど、それ5年10年に1回でしょう?そもそも突如7000円も値下げするって、じゃあこれまでの7000円って何だったの?という話ですよ。そして止まらない物価高。1日1パックを食す私の大切なタンパク源である納豆まで高くなってしまいました。3パック100円前後なので、まだまだ安いとはいえ今後が非常に心配です。ただこの物価高について考えた時、ここ最近はお財布よりも自分の感覚が追いついていないのだと気がつきました。例えば、外でランチをしようかなと思った時、私の感覚はいまだに1000円でとまっているので、1500円の看板を見ると「そこまで払って食べたいものじゃないなあ」となるのです。また、ケーキを買いたいと思っても、私の感覚は480円でとまっているので、800円となると見送ってしまうのです。これはその物に対していくらなら払えるかという個々の価値観の違いもあるのでしょう。日比谷で映画『マイケル』を観たあとに、ランチを探しにウロウロと歩いてみたものの、結局「そこまで払って食べたいもの」が見つからなかった私は、駅へと向かうために足早に有楽町イトシアを歩いていました。すると1枚のポスターが目に飛び込んできました。『フィリップ・トルシエ氏と楽しむ特別ワイン会』なんだ、このイベントは。ふむふむと概要を読んだところ、トルシエ氏は現在ボルドーのサンテミリオンでワイナリーを運営しているようで、それに関連してのイベントとのことですが、2種類のワインにおつまみとトルシエがついて、なんと5000円。これを高いと思うか安いと思うかは人それぞれですが、私は破格だと思いました。
当日は同僚女子Aと2人で参加。コジコジとカマたくとしょこたんをこよなく愛すAは、このW杯期間にしっかりと中村敬斗まで愛するようになっていました。ただ、私よりもひとまわりほど年下なのでトルシエなどあまり知らないのでは?と思ったのですが、写メしたポスターを見せるとなぜか彼女の方が乗り気で「え、安い。行きましょうよ」と、さくさくと申し込みをしてくれました。仕事終わりだし、次の日も朝から仕事だし、と参加を迷っていた私の背中を押してくれた彼女に感謝です。何しろ、本当に楽しいイベントだったので。まずはウェルカムシャンパンで乾杯。おつまみも宮崎牛の生ハムやチーズなど、やたらと美味しい。さすがは会場となっているヴィノスやまざきです。そうこうしているとトルシエ氏の登場。今から15年ほど前、都内のホテルで姉とお茶をしている時に通りがかった氏に「ボンジュール」と声をかけました。すると向こうも「ボンジュール」とさっと手をあげました。「え!繭ちゃん、トルシエと知り合いなの?」「全然。初めて会った」社交的すぎる妹に、姉は驚愕しておりました。それ以来のトルシエ氏です。その氏が目の前でワイン造りに対する情熱を語ってくれるのですが、こちらはもう聞いているうちにハーフタイムのロッカールームにいるみたいな気分になってくるんですよ。もうね、2002年W杯のドキュメンタリー『6月の勝利の歌を忘れない』の世界です。日本代表の監督をするぐらいですから、もちろん凄い人なのですが、トルシエ氏の自信に満ちた確固たる姿勢と語り口を前に、人の心を捉えるとはこういうことかと深く感動した次第です。トルシエ氏は現在71歳。ということは2002年W杯の時は47歳!今の私よりも若かったのか!当時、私は『愛なんていらねえよ、夏』というドラマで初めて大きな役をもらい、日夜プレッシャーと戦っていました。あの日から今日まであっという間だったので、私もあっという間に71歳になるのだと思うと震えます。もっともっと人生を楽しむぞ。トークのあとはトルシエ氏のワイン『FLAT3』を購入した人にサイン&写真撮影会というわくわくタイムだったのですが、このワインが名前にちなんで3,333円。Aと二人で「33,333円じゃなくて良かったね」とこそこそ話しながら購入しました。写真は、私のフランス語に耳を傾けてくれているトルシエ氏なのですが、お互いに距離感が近すぎてワケありカップルみたいな雰囲気になってしまいました。メルシー、ボークー。
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website