
アロハ
2026-04-13 12:32:00
春休みに姉家族がハワイ旅行に行くと聞き、18歳になる甥っ子1号にLINEをしました。「楽しんで来てね!」彼の返事は「うん!写真いっぱい送るね!」というものでした。そして彼らはハワイへと旅立ち、楽しい時間を過ごし、無事に帰国し、すでに1週間が経ちました。しかし甥っ子からはまだ1枚も写真が送られてきていません。そのことを母に愚痴ると「私にもそうよ。写真送るね!とか言って1枚も送ってきやしないわよ。でも彼女には送ったんだろうね。きっと、お土産なんかもちゃんと買ってるのよ。彼女へのお土産何かしらね?貝殻のネックレスとかかしら」と母。貝殻のネックレスって、いつの時代だよと思いつつ、それから数日後、待てど暮らせど連絡がない甥っ子に私からLINEをしました。「あんたが写真送ってくれないから、こちらからから送りますね。アロハ!」と椰子の木の下にいる写真と共に。そうです、私もハワイに行ったのです。
前回(第254回『ノーストレス』参照)から約1年半ぶりのハワイは、今回も1人旅。実は前回のハワイがとても楽しかったので、一緒に行こうと何度も母を誘ったのですが、頑なに拒否されました。しかも、その理由がかなり変わっていて「あそこはやっくんの場所だから」というものなのです。やっくんと言いますのはご存知薬丸裕英さんのことでありまして、母いわく「やっくんのブログを読むと、俺のハワイって感じがするの。だから行きたくないの」と。意味不明すぎて娘困惑。「えーっとね、ママ。やっくんはお家があるからハワイにしょっちゅう行くのは当然のことだし、そうなると色々と紹介したいだろうし。そもそもそんな気持ちになるならブログを読まなきゃいいと思うよ。それにね、ハワイに行ってそこかしこにやっくんの影を感じるとか、絶対にないから大丈夫」しかし母は「私は結構です。ハワイはやっくんのものだから。それにブログは読みたくないのにあがってくるの!だから読んじゃうの!」と。アルゴリズムに苦しめられる母。ちなみにあがってくるのはやっくんと松居一代さんだそうで、数年前までは才賀紀左衛門さんもよくあがってきたとのこと。母の興味の対象が謎。ということで、母の説得に失敗したために今回も1人旅でありました。
ハワイへの女性一人旅はあらぬ嫌疑をかけられて入国審査で質問責めに遭うことが多いと聞きますが、「何しに来たの?」の問いに48歳のおばちゃんは満面の笑みを浮かべて「サイトシーン!」で即入国です。ああ、若くなくて良かったわ。前回はUberで市内まで行きましたが、今回はHANATAXI。韓国系のタクシー会社です。運転手のおじさんももちろん韓国系ハワイアン。「アジョシ、私ね、今韓国語の勉強をしてるのよ」「どんな韓国語を知っているんだい?」「この前習ったのは『これ、きゅうり?』『うん、きゅうり』ってやつ」「どこで使うんだ?あはは」「ですよねー。あはは」窓の外には青い海が広がっています。到着1分でご機嫌になれる場所、それがハワイです。いったん荷物をカード会社のラウンジに預け、ぷらぷらと散歩をします。ほとんどの人がバカンスで訪れていますから、行き交う人々が皆幸せそうなのですよね。そんな場所って世界中を探してもなかなかないと思います。そして15時になったので予約していたホテルに向かいました。しかし、ここでトラブル発生。某予約サイトのトラブルでチェックインができない!しばし呆然。しかし日が暮れてから宿無しというのは避けたいので、気持ちを切り替え、近くにある四つ星ホテルに駆け込みました。ここは姉がフライトの際に宿泊するホテルなので、気持ち的に何となく安心。しかしホノルルで「Do you have a room tonight?」とフロントにやって来る日本人女性なんて、新婚旅行で大喧嘩をしたとか、そんなよっぽどの理由しかありえませんよ。この日は結局、部屋に籠って某予約サイトとのやり取りで時間を奪われることに。当初「返金しない」と言っていた彼らでしたが、冷静に粛々とメッセージを送り続け、最終的には全額返金&次回使える60ドルクーポンをGETしました。二度と使わないからクーポンはゴミ箱行き。大変な思いをしましたが、すごく勉強になる経験ではありました。翌日からは新たに探した格安のキッチン付きホテルに移動して、本来のハワイを満喫です。朝起きたら散歩をして、部屋で納豆ごはんを食べて海へ。泳いで寝て読書をして、おなかがすいたら部屋に戻ってふりかけごはん。そしてまた海へ。美しいサンセットを眺めたあとは部屋でビールとポテトチップスを手に、普段は見られない『ザ・トゥナイト・ショー』や『サタデー・ナイト・ライブ』を心ゆくまで楽しみます。ハワイにいる間はずっとこの繰り返しです。究極のリラックス。心の底から幸せ。ああ、この幸せを世界で一番大切な母にも味わって欲しい。そうなると、私の目下の敵はやっくんということなのでしょうか。ああ、一緒にお仕事もさせていただき、お世話になったというのに。私はどうしたら良いのでしょう。写真はサングラスをかけると相変わらずみうらじゅんさんになってしまう私です。
2026.4.13 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website