高知ぜよ
2025-04-28 12:22:00
連日、米価格高騰のニュースを目にします。街頭インタビューでは米の代わりにパスタやうどんを食べるようにしているという声も聞こえてきました。米好きの私としては、米の代わりになるものなど地球上に存在しないと思っているので、パスタやうどんは別物でしかありません。スタジオでは、米1杯分150gの値段が6枚切り食パン1枚分よりも高くなったとフリップを使って説明していました。朝ごはん1食分と考えてのことなのでしょうが、米とパンでは満足度や腹持ちがまったく違うので比較にならないよなと思いながら見ていました。私の場合、毎朝大盛りで一膳のごはんを食べるもののランチは会社が支給してくれるお弁当がありまして、夕飯は基本的にとらないので1ヵ月に2kgもあればじゅうぶんといったところ。ですので家計への打撃は少ないです。それに比べて1ヵ月10kg以上の米を消費する姉家族、こちらはさぞ大変かと思いきや、数年前から100kg単位の契約で農家から直接買いつけているので、この米騒動のなかでもお値段据え置きで市場価格のほぼ半分とのこと。この価格高騰には天候やインバウンドといった要因もありますが、お米が農家から家庭に届く間に、色々な人が少しずつ得をしているのだなあと思います。いいなあ、私も得だけして生きていきたい。ここ最近のお得といえば、JALのタイムセールで手に入れた航空券でしょうか。昨年6月、初めて訪れた高知県で鰹を食べた私は、あまりの美味しさに衝撃を受けました。その感動を鰹の写真とともに母にメールしたところ「私がすごく鰹を好きなのを知っていましたか?」と返信が。普段は絵文字があったりと柔和な雰囲気のメールなのに、この時は何故か他人行儀で文面からも怒りのようなものが伝わってきました。あとから姉と話したところ「ママ、ものすごく鰹が好きなんだよ。しょっちゅうライフで買ってるの知らないの?」とのこと。母親という生き物は当たり前のように子どもの好物を知っていますが、子どもの多くは母親の好物を知らないまま生きています。ああ、母よ、ごめん!ということで、今回は母に高知で初鰹を堪能していただこうの旅でありました。
美人母娘・春の日帰り旅行は朝イチの飛行機で出発です。元CAの母は飛行機に乗ると色々と思い出すことがあるようで、当時はスタンバイ(急な欠員のための待機)の連絡が電報だったことなどを話してくれました。暮らしていた下北沢の風呂無しアパートに「111ビン、シキュウジョウムセヨ」といった電報が届くのだと。すごい世界だなあ。おしゃべりに興じているうちにあっという間に高知龍馬空港に到着。行く前に「どこか行きたいところがあったら言ってね」と伝えておいたところ「はりまや橋と桂浜に行ってみたい」とのこと。これ、昔の私でしたら「はりまや橋はたいしたことないし、桂浜は去年も行ったんだよねー」となっていましたが、もう私も大人ですから「うんうん、行こうね」と。ホントに、なんていい娘なんでしょう!まあ、いい娘になるのに47年かかりましたけどね。空港バスで市内まで行き、はりまや橋を見て(案の定、母もその小ささにびっくり)、カーシェアで桂浜へ。日本の渚百選にもなっている浜辺を歩きながら「日本海の向こうは北朝鮮だけど、太平洋の向こうはアメリカだから、太平洋の方がかっこいい」という小3男子のような母の感想を聞きながらアイスクリンを食べました。そしてお次は『とさのさと』へ。昨年も訪れましたが、ここは道の駅や直売所が好きな人にとって天国のような場所。スナップエンドウ、茎ブロッコリー、新玉ねぎなどを買い物カゴに入れていきます。「ネギ、機内に持ち込んで大丈夫かしら」「大丈夫だと思うよ」このあたりは日帰り旅行の手軽さでもありますね。しかし、これで筍ごはんを作ってくれと頼んだ巨大な筍は丁重にお断りされました。車を返却し、いよいよ本日のメインイベントであるひろめ市場へ。たくさんの人でにぎわっていますが、ここはまださほどインバウンドの波が押し寄せていないので穏やかです。市場の真ん中の席を陣取り、まずは鰹の藁焼きを前に生ビールで乾杯です。そして大好きな鰹を、たぶん日本で一番美味しいであろう鰹を口に運ぶ母。次の瞬間「!」と目を見開き、「ああ!」と目をつぶり、「美味しい~!」と悶絶。そんな母を眺めならが、今ここで息絶えても本望であろうと思いつつ、こんなに喜んでもらえるのならばこれからも毎年食べに来ようではないかと心に誓う私。ということで、長生きしてくれ、おふくろさんよ。写真は『とさのさと』で買った西山きんときです。室戸市にある西山台地で栽培されているそうです。ひとまず3本焼き芋にして、1本を食べて残りは冷凍にと思ったのですが、気づけば3本食べていました。美味しいものがたくさんある高知、素晴らしいですなあ。
2025.4.28 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website