マインドフルネス│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#103

マインドフルネス

2018-07-19 12:29:00

 真っ当な社会人であるべく週休2日生活になって一年が経ちました。その2日間の貴重な休日をいかに有意義に過ごすかで残りの5日が決まるといっても過言ではありません。しかし現実的には掃除、洗濯、買い物等の家事、そしてこのコラムを含めて月に5回やってくる原稿の〆切との闘いで終わってしまいます。何か楽しいことないかなあと『スカイダイビング 東京』と検索してしまったのは先日、試写会で『ミッション・インポッシブル フォールアウト』を見た影響です。シリーズ6作目の今回もトム・クルーズが最強すぎて、ミッションがもはやポッシブルになっちゃっています。恐るべし56歳。IKKOさんと同じ歳。そういえば20年近く前『ミッション・インポッシブル』をデートで観に行って途中から手をつながれて集中できなかったなあ。しかしググってみたら、公開年が合わない。はて?どうしたことかと首をひねれば、その時に観たのは『マイノリティ・リポート』でありました。ああ、もうごっちゃになっちゃう。ここ最近のトム・クルーズの作品は『ジャック・リーチャー』『ザ・マミー』『バリー・シール』と全て観ていますが、歳のせいかどれがどんなだったかわからなくなってしまいます。ここは、やはりマインドフルネスで心を落ち着かせなくてはいけません。ん?マインドフルネスとは何かって?それは私が先日、会社で受けたストレングスファインダー(前々回コラム参照)に続く研修で学んだスキルなのであります。

 今回の研修はサーインサイドユアセルフプログラムと言って、神経科学に基づくプログラムでマインドフルネスとエモーショナルインテリジェンスに関連するスキルを学ぶプログラム、ということでした。もう横文字が多すぎて、この時点でほぼ離脱。何でもこのプログラム、天下のグーグルさんで誕生したらしいですよ。先生もやたらとそれをアピールしていたのですが、天邪鬼の私からしたら「だから何だよ」なのです。EUに5,700億円の制裁金を命じられる会社だぞ。以前、ゴールデン街のバーで一緒に飲んだアメリカ人が、胸に大きく『Google』と書いたTシャツを着ていたのでそれに対して突っ込んだら、まさかの社員でした。休暇で訪れた日本で自分の会社のTシャツを着るって、どんだけ自社愛強いのよ。佐川急便の人があのポロシャツを着て家族連れでホノルルを歩いていたらびっくりしますよね。そのグーグルさんが開発したプログラムを今回指南してくれる先生は、長身の男性Kさん。スキニーを履いていた時点で私からの信頼を早々に失っていたのですが、挨拶で「今日はこのような実践の場をいただきまして、感謝しております」と言い出したので、思わず「え?見習いなの?」と眉をひそめてしまいました。どうやらK先生、普段は金融系の仕事をしていまして(ここでまた私からの信頼を失う)、先日もフランスで修行をしてきたそうです。え?なに?シェフ?もう、色々とわからない。最初にK先生から「簡単な自己紹介と、どうしてこの研修に参加したのかを一言ずつお願いします」と言われ、私は「全員参加だったので」と答え、思わず先生も苦笑い。まさかコラムのネタのためですとは言えないよね。しかし職場には私より上をいく同僚がいまして、同じ歳の仲良しOさん(男性、バツイチ、子ども3人の養育費で大変、お酒大好き)は「マインドコントロールとかどんなもんかなと思って、あの、ほら、今日も麻原彰晃さんがね、死刑になったじゃないですか」とおバカ発言。マインドコントロールじゃなくてマインドフルネスだし、今日びに及んで麻原彰晃に敬称つける人いないし、もう酷すぎる。普段は意識高い系の人と一緒にいらっしゃることが多いであろうK先生も驚いたことでしょう。しかしこういった研修は、やはりそのような意識高い系の人にしか作用しないように思います。だって「ニューロプラスシティとは何か?」という提議に対して、K先生が出してくれた答えは「マインドワンダリングに変化が起きること」なんですもん。もうね、みんなぽっかーん。完全においてけぼりですよ。楽しいの、K先生だけ。しかもこの研修、本当は6時間とかでやるそうなんですね。しかしこの日は2時間の短縮バージョン。先生は何度も「時間がないので省略しますが」という言葉を発していました。そして、色んなものを省かれつつも行きついた答えは「瞑想っていいよ!」ってことでした。ズコッ。私が最も興味がない領域。きっと本来はもっと奥深いものなのでしょう。だって、K先生いわく「欧米の成功者がこぞって実践している」わけですから。翌日、研修に対する満足度はいかに?というアンケートにネットで答えたのですが(さすがグーグル!全部英語!)、「What were this teacher’s strength?(先生の強みは?)」の問いに私は「tall(背が高い)」と書きました。だって他に思いつかなかったんだもん。写真はTallではない男、トム・クルーズ。彼は瞑想する暇もなくヘリコプターにしがみついておりますよ。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website