祝100回!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#100

祝100回!

2018-06-11 14:04:00

 なんとこの連載、この度無事に100回目を迎えることができました!いえーい!ぱちぱちぱちぱち!ブー、ブー、ブー!(W杯が近いのでブブセラも鳴らしておきます)。伊集院静センセイに「君、ペンネームを『根気なし子』に変えたら?」と言われてしまう私が、よくもまあ一度も原稿を落とさずに頑張れたものです。スタートから4年と少し、36歳だった私も40歳になりました。原稿用紙にしたら500枚。今までに書いた一番長い小説でも400枚ちょっとだったので、ちりも積もればですね。いやいや、心を込めて書いているのでちりではないですね。タイトルにもあります『女子力』は2009年の新語・流行語大賞にノミネートされました。言葉というのは時に形を変えたり、はたまた消え行くものですが、私がこうして毎月言及しているおかげで(たぶん違う)、今では完全に定着した言葉となりました。このコラムは、女子力と真摯に向き合うことで己にその力をつけるという目標を抱いて始めたわけですが、もう皆さんご存知の通り、西山繭子の女子力は上昇するどころか下降線を描いています。これはもうね、加齢だよ、加齢のせいだから仕方ないよ。今だってすごく腰が痛くて、椅子の上にくノ一みたいな態勢で座っているのよ。あ、でも最近は、第1回目のコラムに書いたパジャマtoパジャマということはなくなりました。今もちゃんと家着に着替えています。上は斉藤和義さんの2008年のツアTで、下は大学2年生の時に買ったNIKEのハーフパンツ。この物持ちの良さは、ある意味女子力が高い。『トイレの神様』的な女子力。しかし4年というと、産まれたての赤ん坊は、幼稚園生になるほどの驚異的な成長を見せるわけですが、この歳になるとそうはいきません。「え?もうW杯?」「え?もうオリンピック?」それが当たり前になっています。先日も二年前に撮影した映画『名前』の舞台挨拶があったのですが、主演の駒井蓮さんは高校一年生から高校三年生になっていました。この違いはかなり大きい。38歳から40歳は、ばばあからさらにばばあに、といった感じで成長はありません。あ、女子力のコラムなのにばばあとか書いちゃダメだわね。マダムにしよう。そういえば、ここ最近じゃパリでは当然のようにマダムって呼ばれるようになったなあ。昔はマドモアゼルだったのに。未婚だから今でもマドモアゼルなんですけどね。そう!そうなのよ!変わっていない一番悲しきことは、4年間経っても独身のままだということなのですよ!まあ35歳以上の独身女子がその後結婚できる確率が2%だということを考えると、致し方無いのかもしれませんね。もちろん4年間、彼氏もおりません。たぶんこのまま恋愛も結婚もすることなく孤独に死んでいくのだろうなと思います。しかし、このコラムにもよく登場する私の大好きな甥っ子2号(6歳)は、ここ最近、友だちのいとこのお兄さんと遊んで楽しかったらしく「ねえねえ、まーたん!ボクもいとこ欲しいよー!」と言ってきました。「あのね、もしまーたんが今後、奇跡的にいとこを産むことがあってもすごい赤ちゃんだから、一緒に遊べないよ」と教えてあげるとしょんぼり。不甲斐ない叔母さんでごめんなさいね。

 もちろんこの4年間で変わったこともありますよ。スタート時は母親と暮らしていましたが、今は一人暮らしです。最初のうちは初めての一人暮らしに胸を躍らせ、俗に言う『丁寧な暮らし』を心がけていましたが、今はズボラもズボラ。ぬか漬けをやっているので、もう米を炊けばそれでいいやといった具合です。加齢と共に物欲もどんどんと削がれ、今はとにかく少ない物の中でシンプルに暮らしたい。理想はスーツケース1つに収まる所有物。そして変わったことのもう一つは、会社で働き始めたことです。そろそろ一年になります。こう見えても仕事に関しては真面目に取り組む人間なので、あれよあれよと任される仕事が増えてきました。撮影が入った時などは、お休みをいただけるので本当に有難い職場だなと思います。しかし、たくさんの人が働いているので、みんながそれに対して理解があるわけではありません。そうなると、小心者の私は本業の方を断らざるを得なくなってしまうのです。ふと最近、これは違うのではと思い始めました。そんな風に人生に悩んだ時、私には伊集院静センセイという頼りになる人がいます。私たち父娘は、一緒に暮らしたことがないので、普通の親子とはだいぶ違います。甘えたりねだったり反抗したり、娘が父親に対してすることを私は一切できませんでした。これから先もすることはないでしょう。ただ、それらはできないけれど、美しいものを美しい、悲しいことを悲しい、と普通の親子だったら恥ずかしくて言えないようなことを自然と話すことができます。それはお互いが物書きだからかもしれませんね。先日、その父が帰り際にぽつりと言った「あなたの人生なんだから、もう少し自分のことを考えなさい」という言葉はしっかりと耳に残っています。うん、そうだ。自分の人生だ。独身だろうと、女子力がなかろうと、私だけの大切な人生なのだ。しっかりと歩んでいこう。というわけで(便利な言葉)皆さま、101回目からも『女子力って何ですか?』を引き続きよろしくどうぞ!

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website