えん、だー!いやー!│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#095

えん、だー!いやー!

2018-03-23 15:16:00

 春物のニットを買いに若者向けのお店に立ち寄った時のことでした。綺麗な緑色のニットを見つけ試着したところ、こんなにビビットな緑が似合うのは私か青蛙かってほどの完璧さにうっとり。うきうき気分でレジの前に立つと、店員の女の子が「こちらのアプリをダウンロードしていただきますと、今すぐに使える500円オフのクーポンが発行されますよ!1階のインフォメーションカウンターの横にある発券機でクーポンを発券するだけなんで、ぜひ!」と笑顔で教えてくれました。「あ、私のスマホ、wifiじゃなきゃ使えないので」と言うと「1階だとwifiも入りますよ!そこのエスカレーターですぐですから!」とお姉さん。うーん、1階まで行って、wifiを繋げて、アプリをダウンロードして、発券機で発券して・・・「面倒なんでいいです」私がそう言ったところ、お姉さんが「え!500円オフですよ!」とすごく驚いた顔をしました。そして「本当にすぐですから!そこのエスカレーターで上がっていただいて!そしたらwifiが入りますから!で、アプリをダウンロードして下さい!そしたら、QRコードを発券機にかざすだけですから!それだけで500円オフですから!」何だろう、このお姉さんって昔500円を大切にしなかったことで酷い目にあったとか、そういう過去があるのだろうか。私はお姉さんに気圧されて、言われた通りにすることにしました。無事に発券できたクーポンを持って再びお姉さんのところに戻ったところ、彼女は安心したように「大丈夫でしたか?良かったです」とにっこり。ああ、ただの親切な良い子なのだなあとおばさんはほっこり。可愛らしくメイクを施し、髪の毛もふんわりまとめて、女子力も高め。会計を終え、ショップバッグを受け取ろうとしたところ「入口までお持ちしますね」とお姉さん。いや、駅ビルの中のお店だからさ、入り口も何も、私が1歩動いたら、もう店外だよ。しかしお姉さんの親切心を踏みにじってはいけないと、言われた通りにしました。人に有無を言わせぬ女子力の持ち主、素晴らしい。見習わなくてはいけません。

 しかしここ最近、以前にも増して女子力が不足している私。ここは一発女子力が溢れている映画を観て自分を鼓舞しようと、いくつか試写会にお邪魔しました。今日はその中でも女子力アップ間違いなしの三作品を紹介いたします。まずは『トゥームレイダー ファーストミッション』。試写状をいただいた時に「あれ?アンジェリーナ・ジョリーじゃないの?」と思ったのですが、新生ララ・クロフトだそうです。リメイク早くね?と思いつつも前作はもう15年も前だそうです。ああ、もう時の流れが怖い。実は私、『トゥームレイダー』は『バイオハザード』みたいな感じだと思いこんでいたのでまったく興味がありませんでした。しかし予告編を見たところ、これは私の大好きな『インディ・ジョーンズ』ではないか!とびっくり。以前『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』のジャパンプレミアに招待された時、私と同じくインディファンの母を連れて行きました。ゲスト用のレッドカーペットを歩いていると、母が突然立ち止まり「繭ちゃん!ハリソン・フォードがいるわよ!ほら、ハリソン!ハリソン!ほらほら、ハリソンさ~ん!」と目の前でファンにサインをするハリソン・フォードに手をふりました。紳士ハリソンはもちろん笑顔で応えてくれましたが、その後、母をそういった場所に連れて行っていないのは言うまでもありません。今回の『トゥームレイダー』、主演のアリシア・ヴィキャンデルがとにかく恰好良い!映画を見てもらえばわかると思いますが、人間が生き延びるために大切なものは知性と勇気と握力なのだなあと思いました。そして2本目は『パティ・ケイクス』。廃れたニュージャージーでアルバイト生活をしながらスーパースターを夢見る女の子の物語。これだけを聞くと、ガーリーな感じがしますが、全然違う!まずは主人公がデブ!そして彼女が夢をたくしているのはラップ!ラップなんだYO!日々の生活に追われながらも夢を追う23歳の彼女の姿は、デブであろうとただただ美しい。ここ最近、アルバイトばかりの毎日で、それを理由に小説を書かない私はデブじゃなくても醜いなあと思いました。繭子、頑張る。そして3本目は『モリーズ・ゲーム』。私と同じ歳のジェシカ・チャステインが主演であります。彼女の美しさと、描かれる華やかな世界にうっとり。やっぱり金は稼いでおかなきゃなあと欲深いことを考えつつも、主人公と父親のやりとりには涙。ちなみに父親役はケビン・コスナーです。劇場で観た『ボディガード』はもう25年前の作品。えん、だーー!いやー!いやー!の主題歌はもちろん今でも歌えます。女子力を上げたい方々には特におすすめの作品たちでありました。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website