善玉vs悪玉│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#094

善玉vs悪玉

2018-03-12 15:55:00

 先日、甥っ子2号と3号が通う幼稚園の学芸会で号泣しすぎて、姉に「まーたんは卒園式には来ない方がいいと思う。泣きすぎて死んじゃうから」と言われた叔母さん、西山繭子です。いやー、あんなに泣いたのは久しぶりってぐらい泣きました。ほぼほぼ赤ちゃんの3号が一生懸命歌っている姿にも涙しましたが、年長さんである2号が『みにくいあひるの子』の劇で「こっちへきて、ぼくたちといっしょにあそぼうよ」という台詞を言った瞬間に涙腺が崩壊。ああ、あの2号がちゃんと台詞が言える日が来るなんて。甥っ子2号は、もっともっと小さい頃、言葉が遅くて病院に通っている時期がありました。母親である姉の心配は、私の非ではなかったと思いますが「まあ大丈夫でしょう」と辛抱強く言葉の練習に励んでいました。母は強し。今でも周りの子どもに比べたら言語力は劣るのかもしれませんが、2号の台詞は私の胸に突き刺さりました。終演後、2号のもとに駆け寄り「上手すぎて、まーたんびっくり!アカデミー主演男優賞決定です!」と拍手をすると、彼は恥ずかしそうに「ありがとう」とはにかみました。ああ、そんな彼も春からは小学生か。月日が経つのは早いものです。この連載だって、あと少しで100回ですよ。もう4年も続けさせてもらっているのです。ひえ~、それなのに女子力まったく向上していない~。どんだけ~。しかし実は今、私には女子力よりも向上させたいものが一つあります。それは悪玉コレステロールです。え?悪玉?善玉じゃなくて?との声が聞こえてきますが、私の場合は悪玉コレステロールなのであります。

 今年40歳になった私のもとには「お誕生日おめでとう!はい、これプレゼント!」とばかりに渋谷区から検診無料クーポンが届きました。会社勤めでない私にとって、これは本当にありがたい。健康保険制度を考えると日本は素晴らしい国だなと思います。クーポンの中身は、乳がん、肺がん、大腸がん、血液検査等の健康診断でした。私は早速、渋谷区に指定された病院に予約を入れました。まずは乳がん。マンモグラフィは「まったく痛くなかった」という人と「超痛かった」という人と両極端。よく貧乳の人の方が痛いなどと言いますが、それもどうなのだろう、とドキドキしながらベテラン女医さんの元で初めてのマンモグラフィ。「はーい、その線のところに立って、そのままね」おっぱいが透明の板と板にはさまれ、お煎餅みたいになりました。ちょっと面白い。まあ痛いことは痛いけど、我慢できないほどではないな、と脳内で『おせんべえやけたかな』の手遊び歌を口ずさみながら、縦に横にお煎餅になっていくおっぱいを眺めていました。「じゃあ、最後に斜めを撮るからね」と女医さんが、おっぱいを挟み始めた次の瞬間に「あたたたたたたたたた」とケンシロウのような声が出てしまいました。おっぱいというよりも、引っ張られている脇下の皮膚が痛い!「我慢して!」「はい!あたたたたたた!」と涙目で検査終了。結果は何の問題もありませんでしたが、貧乳だから痛かったのかな?というもやもやした思いが残りました。続きまして肺がん検診。これは病院に行く前に検査キットが送られてくるのですが、これが大変でした。なぜって痰を採取しなくてはいけないのです。どんなに「ガー!ペッ!」とやっても唾しか出てこない。何度も繰り返しているうちに喉から血が出るんじゃないかってくらい痛くなってしまい断念。結局大量の唾が入った検査キットを提出しました。レントゲン検査の結果もふまえ、診断的には問題なしでしたが、自由自在に街角で痰を吐くおじさんを初めてすごいと思いました。大腸がん検診は検査キットを提出するだけ。こちらに関しては女子力の都合上、割愛させていただきます。いわゆる、うんこの話なので。

 そして最後の健康診断です。まずは身長と体重の測定。身長を測るなんて、何年ぶりでしょう。しかも40歳といえば、そろそろ縮むお年頃。そんなの嫌だわ、と思った私は何と検診に行く前に整体に行きました。長年の友人である整体師に「今から身長測りに行くから、首とか引っ張ってちょっと伸ばしてくれる?」とお願い。高校生の時から私がバカだと知っている友人は、何も言わずに私の身体を整えてくれました。そのおかげか身長は165.6cmと現状プロフィールを維持。やったね。しかし問題は、血液検査の結果でありました。世間でも何かと話題のコレステロール。悪玉を減らして、善玉を増やそう!という言葉をよく耳にします。通常、体内のコレステロールは善玉よりも悪玉が多いそうです。しかし私の場合は逆。善玉が94㎎/dlで悪玉が62㎎/dl。どちらも基準値内とはいえ、何だか体内までもがバカっぽい。仕事のストレスに追われて身体に少し問題がある方が、まともな大人といった感じがします。うーん、少し不摂生な生活をしてみるかと思いつつ、いただいた青汁を毎朝口にしてしまう私であります。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website