良縁祈願祭アゲイン│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#080

良縁祈願祭アゲイン

2017-08-14 16:44:00

 のろのろ台風5号が日本列島を北東に進んでいる8月7日夜、とある女3人がメールでやりとりをしていました。「台風だろうが何だろうが、明日は決行です」「ラジャー」「6時に出発します」「ラジャー」「清らかな心で望みましょう」「ブラジャー」「そういうのダメだから!」「はーい」そんなやりとりを踏まえてからの翌日8月8日、どんよりと重たい雲が空を覆う朝の東京を「眠い」「お腹減った」「化粧がのらない」と言いながら女3人はプリウスに乗って川越へ向かったのでありました。『8月8日』『川越』というキーワードでピンときた方は、この連載のコアなファンか、もしくは私同様もうずっと彼氏がいなくて、というか、いなさすぎて、むしろ今まで彼氏がいたことないかもという錯覚に陥り、じゃあ今後結婚することがあったら『初恋の人と結婚』ということになるから、西村知美さんばりのピュアさでナムコ・ワンダーエッグで結婚式しますか!と思ったら、とうの昔に閉園してるじゃないか!どうすればいいのさ!という悩みを抱いている方だと思います。しかし前者も後者も日本中を探してもいなさそうなので、ちゃんと説明しておきますね。今回私たちが向かった先は縁結びで有名な川越氷川神社でありました。しかも二年ぶり二度目!甲子園でいえば新進気鋭の強豪校!となるところですが、縁結びの神社なので、何度も行くって一番ダメなパターンですよね…。でも、そのパターンを地で行くのが女子力を求める西山繭子なのであります。というわけで、今回も行って来ました良縁祈願祭!お初という方は、前回訪れた時のことを書きました第33回『良縁祈願祭』と一緒にお読み下さいませ!

 前回の良縁祈願祭は土曜日ということもあり、ものすごい人で溢れかえっておりました。今回は平日だし台風だしってことで8時8分の回に入れるだろうと踏んでいたのですが、若くて可愛い巫女さんに渡された整理番号は178番、私たちは8時38分の御祈願に参列することになりました。性格の悪い私は「Mちゃんがコンビニ行きたいって言ったからだよ」とちくり。「繭子だっておなかすいたって言ってたでしょ!」「うん、確かにバナナマフィン買った」と、ここで「ほらほら、心を清らかにしないと」とKぴょんの言葉で我に返ります。前回は「ブス」とか「デブ」とか「ババア」とか悪口ばかり言っていたから良縁に恵まれなかったんだよってことで、今回のモットーはとにかく心を清らかに。私は、長靴を履いてきたのに全然雨が降らないことにイライラしながらも、美しい境内で深呼吸をして心を落ち着けました。全ては良縁のため。8時38分の御祈願まで時間があったので、まずはおみくじをひくことに。前回ここでひいた『あい鯛みくじ』には自分と相性が良い男性の星座、血液型、干支が書かれていました。これ、全てが一致する人というのはなかなか難しく、前回の条件に合う人を芸能人で調べたところ私の相手は楽しんごさんしかいませんでした。それほど難しいのだから、今回もこれをひいて、そしたらもうその条件に全部一致する人を血眼になって探して押し倒してでも結婚しようと思っていたのですが、ひいたおみくじの中身は何だか普通。巫女さんのところへ行き「すみません、相手の干支とか血液型とか書いてあるおみくじがあったと思うんですけど」と訊いてみると、彼女は「そちらは、もうお取り扱いしていないんです」と申し訳なさそうに言いました。きゃあ、悲しい!悲しいし、恥ずかしい。若い巫女さんに「このおばはん、必死やな」と思われたはず。ちなみに私がひいた普通のおみくじには「縁談 出来るところを短気のためにやぶれることあり」と書いてありました。は!?あたし、短気じゃないし!(完全に短気)Mちゃんは、前回同様一つ目のおみくじに納得せず、2つ目をひくことに。すると『結婚は28歳までが最も良いでしょう』と書かれていました。前回ひいた時は33歳までと書いてあったのにかわいそうなMちゃん。ちなみに私とKぴょんは早生まれなので、まだ39歳のアラフォーですが、Mちゃんは40歳なのでただのフォーです。そんな独身おばさん3人は、番号を呼ばれいざ社殿へ。シャラシャラと美しい鈴の音で心の清らかさがマックスになる中、あとがない私は必死に神様にお願いしようと集中。「良縁の神様、どうか、どうか、素敵な人とめぐり合えますよう、よろしくお願いいたします。もう本当に一人で生きていくことに疲れました。結婚したいです。誰か私と結婚してくれる人はいないでしょうか。もうこの際、できちゃった結婚でもいいです。いや、やっぱりそれは違うかも。違う、違う、そうじゃ、そうじゃな~い。あ、神様、ごめんなさい。今のはウソです」こうして無事に今年の良縁祈願祭を終えた私たち。帰りはドーナツ屋に寄って、高カロリーのドーナツを口にしながらあーでもないこーでもないと楽しくお喋り。16歳の時と同じようにみんなでけらけら笑っていると、もう一生独身で、おばあちゃんになっても「結婚したいよね~」と言いながらこの良縁祈願祭に来続けるのも悪くないかもと思ってしまいました。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website