どなたか私にパソコンを買ってください│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#074

どなたか私にパソコンを買ってください

2017-05-08 11:16:00

 マンチェスターから帰国してすでに一カ月。「ヘイ、プリンセス!」「おやすみ!たくさんのキスを送るよ!」「マユコはいつだってビューティホー!」と毎日来ていたオスカルからのメールもひっそりと鳴りを潜め、若者と中年の違いをひしひしと感じている今日この頃であります。まあ39歳にして胸きゅんの思いをできただけでも感謝ですね。胸きゅんは女子力アップに間違いなく有効ですから。そろそろ胸きゅん、イコール、病院行けの年齢に差し掛かろうとしているので人生の最期に素敵な胸きゅんができて良かったです。先週はマンチェスターで支払いをした分のカードの請求書が届き、こちらにも胸きゅん。動悸息切れ5秒前。今回は学費がある分、節約を心がけていたので普段の海外滞在よりはぐっと少ない金額なのですが、一番高くついたのは何を隠そうラーメン屋でした。しょんぼり。昇龍ラーメンというロンドンでラーメンブームを巻き起こした有名店がマンチェスターにもあるのですが、そこで韓国人のクラスメイトとランチをしました。小ビール×2、こってりラーメン×2、そして博多餃子(すんごい小さいのが5個)×1をオーダーして合計38.20ポンド。約6000円であります。厨房では、はちまきをしたイギリス人が「コッテリ、イッチョー!」と言わされている感満載で叫んでいるので、日本人としてはなんだか申し訳なく、この価格も仕方ないような気もします。外国ということを考慮してですが、味はとっても美味しかったですよ。お店の方も親切でした。私が可愛かったからかもしれないですけど。あ、一緒にいたセヨンが可愛かったのかな? どっちでもいいや。

 とにもかくにも、その支払いもありますのでせっせと働かなくてはいけないのですが、最悪のタイミングでパソコンがぶっ壊れました。原稿はいつもパソコンで書いているので、これは致命的です。メインで使っているモニターの大きなデスクトップ型で、約10年使ったので寿命もあるのでしょうが、パソコンって本当に厄介この上ない!帰国後、クラスメイトと連絡をとっているアプリWhatsAppをパソコンでも使えるようにしようと、これまで無視をきめこんでいたWindows10にアップグレードしたのです。ああ、慣れないことをするんじゃなかった。無事にアップグレードはできたのですが数日後、パソコンの電源を入れると黒い画面にはアルファベットと数字が羅列した文字コード。宇宙人からの交信かなと思い、エンターキーを押すと再び解読不可能な文字コード。エンターキー、文字コード、エンターキー、文字コード…。「侵略していい?」「はい」「本当にいいの?」「はい」「あきらめないで!」「はい」みたいな感じだろうか。いや、違う。これは間違いなくパソコンが壊れたのである。ちなみに今この原稿は、サブのノートパソコンで書いています。こちらも購入して6年ほどなので一般的にノートパソコンの寿命と言われる5年はすでに過ぎています。てか、そもそも寿命が短すぎじゃないですか?このノートパソコンなんて20万円以上したのに どういうことよ。私はパソコンに本当に疎くって、同じものを長く使えたらそれで充分なのです。原稿、メール、インターネット。この機能以外は必要としていないのです。それなのに色々くっつけてややこしくしやがって!しかもまったく必要としていないソリティアとフリーセールと上海で人生の大部分を無駄にされて、むしろ訴えたいぐらいですよ!(完全なる逆ギレ)そして何より大変なのは、購入後の設定。外付けHDDを見たら今年の1月にバックアップをとってありました。私にしては奇跡的。だってバックアップなんて3年に1回ぐらいしかとらないし。ただ、そのバックアップを新しいパソコンでどうすれば良いのかわからない。だって外付けHDDをいつも「横付けHDD」と言ってしまうぐらいですから。考えただけで気が重い。ああ、まずはパソコンを買わなきゃなあ。マンチェスターでの支払いもあるし、これまで以上に質素な食生活が続きそうだわ。でも先週、事務所の社長に叙々苑でたらふく焼肉をごちそうになったので、その味の記憶を辿りながら白米を噛みしめたら何とかなりそう。女子力が高いと何でもできちゃうんだな。写真は昨年秋に応募した講談社の群像新人文学賞の予選通過作品発表。小説家の娘は『小説家の娘』というタイトルでひっそりと三次予選落ち。応募総数2016篇ですってよ、奥さん。小説家になりたい人が世の中にはたくさんいるのです。道は険しいですが、これにめげず、新しいパソコンで新しい風を吹かすべく作品を創りたいと思います。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website