そうですね│西山繭子の「女子力って何ですか?」

西山繭子の「女子力って何ですか?」

Writer

西山繭子

#053

そうですね

2016-06-27 10:20:00

 こんにちは。あと数日で2016年の上半期が終わってしまうことに気づき、恐れおののいた西山です。やばいよ、やばいよ!何がやばいって?ベスト体重から3kgオーバーの状態がしばらく続いているのもやばいし、一ヶ月に一度しかない集積日を2回も忘れて不燃ゴミがなかなか捨てられないのもやばい。7月末にある『金さえ払えば誰でも出られるバレエコンクール』で踊る黒鳥のピケターンがまだ一度も成功していないのもやばいし、今、冷蔵庫に入っている野菜がネギの青い部分だけってのもやばい。しかし、上半期が終わってしまう今、何よりもやばいと思ったことがあるのです。それはこの上半期、誰にも恋をしていないってこと!ああ!恋をしなきゃ女子力は弱まる一方じゃないか!

 胸をはって言いますが、私はすごく惚れっぽいです。惚れっぽいというか、ストライクゾーンが広いので、街を歩けば「あら、素敵」と思う人がごろごろいるんです。ただ私のストライクゾーンは広いだけではなく、どうやら少々歪んでもいるようです。誰もがハンサムと認める人はもちろん格好良いなと思う一方で、友だち全員が声を揃えて「アウト」な人に一目惚れしたりもします。しかもその歪んだストライクゾーンは、ところどころ穴が開いていたりもするので、誰もが「いいね!」な人にまったく興味なしということも多いです。例えば、私のストライクゾーンに今をときめくEXILEの皆さんは誰も重なっていないけれど、女子に人気があるとは到底思えない外交ジャーナリストの手嶋龍一さんはドンズバだったりします。プライムニュースのキャスターの反町理さんも色っぽくて好きです。竹野内豊さんはもちろん大好きなので『ビーチボーイズ』の続編があったら反町理さんとやって欲しいぐらいです。絶対にやらないと思うけど。まあ、もちろんそんなドンズバで素敵な人に出逢うことは難しいですが、それでも去年は胸をときめかせた人が上半期に1人、下半期に1人いたのです。

 上半期の1人目は、なんぼか年下の青年。素敵だなと思ったので、自分から連絡先を聞きました。彼も快く教えてくれたし、数日後に彼から「今、西山さんの本を読んでいます」とメールを貰ったので、いえい、脈あり!とガッツポーズ。ある夜、お互いに仕事を終えてメールをすると近くにいることがわかったので「良かったらお茶でもしませんか?」とお誘いしました。彼からは間髪入れずに「ぜひ!」とのお返事。落ち合った時点で23時を回っていて、普段21時にはベッドに入っている私としては相当の夜更かし。彼にも早寝早起きの話をしていたので「大丈夫ですか?眠くないですか?」と訊かれたのですが、ときめき覚醒状態の私は「全然。楽しいから大丈夫」と目を爛々と輝かせて答えました。途中、「西山さんってどんな男の人が好きなんですか?」と訊かれ、「健康な人」と答えると彼は「僕、すごく健康です」とにっこり。何だよ!これ、もうプロポーズだろ!と、私の脳内では瞬時に彼との未来予想図が描かれ、子どもの小学校入学式で私と娘の写真を撮っている彼まであっという間に想像!でも一応、一応ね、世の中まさかってことも有り得るから、念のために私は訊いたんです。「でも××さん、こう忙しいと彼女に会う時間もないんじゃない?」って。まあ、念のためにね。そしたら彼、答えましたよ。間髪入れずに。「そうですね」って。え?そうですね?タモさん「今日はいい天気ですねー」お客さん「そうですね」タモさん「でも夜は雨が降るらしいですよー」お客さん「そうですね」の、そうですね?え?ちょっと何言ってるかわからない。「××さん、彼女いるの?」「はい。います、います」ついさっきまで全然眠くなかったのに、途端にすんげえ眠くなっちゃって、やっぱり私、夜更かし無理だわーって思って帰りました。それが1人目。下半期に出逢った2人目は、さらに残念な結果でありました。結婚したいと言うバツイチの彼に「私としましょうよ!」と提案すると彼は苦い顔。私が「えー、どんな女の人が好きなんですか?」と訊いたら、彼ははっきりと「若い子」と言った挙句に、「ねえ、若い女子アナとか知り合いにいないの?」とまで。ちなみに、その彼50歳でした。おおざっぱに四捨五入したら100歳。けっ!こっちだってじじいより、大谷翔平がいいわ!

あ、昨年出会った中でもう一人、気になった人がいた!こちらのシコウヒンTVにも出演している星野概念さん(こちら参照)。彼とお会いした時、初対面なのにこんなに話しやすいなんて、これは運命だろうかと思ったんですよね。ノンアルコールで、ぐいぐいべらべら話を続ける私に、星野さんは始終にこやかに頷いてくれました。ああ、この人といると、なんて心が穏やかでいられるのだろう。脳内にはまたもや未来予想図。しかし、その時、気づいたのです。星野さんは精神科医だから患者さんと話をするのが上手なんだって。つまり、私って、ほぼほぼ患者さんなんだって。そんな患者さんは今日も寂しく自宅にあるDVDでときめきを補充いたします。

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西山繭子さんINFORMATION

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』などがある。

 
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